【vsいわきFC】こういう試合をモノにする

J3を大いに席巻して1年で駆け抜けるという歴史に誇る功績を残した両チームが初めて相まみえた一戦。
レノファにとって2023シーズン初のアウェイは、難敵のいわきFC戦です。

関東レノサポとしては電車1本でわずか2時間半と非常に行きやすいいわき市。スタジアム最寄りの湯本駅はいわき駅からはひと山越えた郊外の小さな駅といった風情ですが、いわきFCの公式応援ソング?のような曲が試合前から試合後まで1日中ループで流れていたのが印象的。街ゆく人・地元の人に視聴覚で刷り込んでいくことは大事だと思っているのですが、それをしっかりやっている印象。

いわきFCのスタジアム、いわきグリーンフィールドは席数についてはつい先ごろの改修でようやく5030席に増席されたばかり。いわゆるスタジアム整備計画の提出に伴う例外措置の適用によって今季J2でも使用可能になりました。
しかし、古くて屋根がなくて席数が少なくてゴール裏が芝生席でも、こんな風にコンパクトでピッチの音が全部聞こえるほど近くて、それこそいわきFCが推し出すような肉体と肉体のぶつかり合いの迫力が手にとるように伝わるようなそんなスタジアムは、ライセンス基準に合致してるしてないとは全く別の次元ですごく魅力的です。こういうスタジアムが全国津津浦浦に揃ったその先に、何百億円もする最新鋭キレイデカスタジアムができていくべきなんじゃないかなっていうのをとても感じます。

ともあれ、そんな素晴らしい雰囲気のスタジアムなうえに晴天に恵まれたこともありレノ丸ちゃんもご機嫌。最近張り直したという芝生もとても美しい。東北地方の寒さを心配していたけど、とても気持ちの良いサッカー観戦日和。

 

試合に入ると、いわきのチーム全体の凄まじい圧力を前にレノファはキックオフ直後からタジタジ。
なんとか最終ラインで奪ってもその直後一発目をそのまま相手に優しくパスをするのを繰り返し、そんな流れから幾度となくゴール前に迫られ決定機も複数作られてなんとかGK関選手のスーパーセーブなどで耐え凌ぐ…という展開が続きます。レノファはパス精度が悪くて相手に渡したというよりは、奪っても圧力の高さのために受け手の時間とスペースをあまり考える余裕もないまま球離れさせようとしていた印象。いわきの全体が極めてよく連動したきれいな陣形をとっていたことでしっかり再回収できる位置をとれていたかんじでしょうか。

前半を通じてのレノファは正直負ける気しかしなくて、いわきとしてはこれを続けていれば良いという展開。いわきの決定力こそかなり問題だけど、それも積み重なってけばといつかレノファ守備陣が決壊するのは時間の問題に見えました。やはり昨季J3を席巻したパワーはホンモノだった。

 

一方で、結果としてそんな展開を0-0で折り返すことができたのは間違いなくプラス要因。

後半に向けてはまずはボール保持が全く安定してできない状態には陣形面で対処する必要があるかなと感じました。前貴之選手がいればな、と思ったりもw
レノファは実際ハーフタイムに矢島選手を1列下げるような形で2ボランチ気味となって逆三角形の4-2-1-3ないしは4-2-3-1のような形に変更したとのこと。

いわきの圧力も後半になると前半ほどのものは維持できなかったと見え、またそれに伴って対人バトルでレノファとしては互角以上まで持ち返すことができました。そうなってくると、かみ合わせの改善に加えて前半には見えなかった個人の技術の優位、例えば純粋なトラップやボールハンドリングなどの差が表に出てくるようになり、ひいてはボール保持をかなり安定させることができたという印象。

圧力の落ち気味になったいわきに対して、小林成豪選手・五十嵐太陽選手などの推進力を出せる選手が攻撃だけでなく守備にも運動量を落とさなかったことで、時間を追うごとにその圧力や強度という点でさえもむしろ相対的にレノファ優位になっていったことは結構すごくて、びっくりしました。
いわきFCのやり方は90分続けることが生命線のはずで、そのことにずっと取り組んできてるはずなのに、どうして彼らのほうが先に落ちてしまった一方でレノファは比較的維持できたんだろう。ペース配分などの単純な問題なんでしょうかね。

 

そんな流れを掴んだ展開のなか、セットプレーを一発で沈めて先制。

最終盤には、交代で次々投入された松橋優安選手・梅木翼選手・河野孝汰選手といった攻撃的な面々がサイドで体を張ってボールをキープするなど、やるべき役割に徹底した涙ぐましい戦いぶり。

 

交代で投入された選手の質といえば高橋秀典選手の脳震盪によるスクランブル投入となった高木大輔選手が、右SBの位置に投入され、単に穴を埋める以上の貢献ぶりでした。

開幕の大宮戦・第2節の磐田戦、そして今節と、交代で投入された選手の試合に与える影響が光っている今季のレノファ。単純にそれだけの選手のクオリティがついてきてることもあるし、名塚監督の起用の妙もあることでしょう。
ベンチから試合を動かすことができるというのはサポーターとしてもどんな試合展開でも「まだ何かある」と思わせられ90分を楽しめるし、何よりベンチの選手にとっては自分たちが試合を変えられる意識で取り組めるし、メンバー外の選手もベンチに食い込めば活躍できるイメージが持てる状況になると思うので、選手のモチベーションに大きく好影響を及ぼせるのではないかと思っています。

メンバー外の選手たちは思ってる以上に精神的にぐらつきやすい状況に置かれている……というのは、最近Jリーガーの皆さんの発信を見る中での気づきです。そんな彼らをうまくモチベートしていくことはシーズン戦うための選手層を厚くする上で本当にめちゃくちゃ大事で、そのためにチーム・スタッフ以外のところからできることはすごくあるんじゃないか???というのがここ最近の個人的なホットトピック。


 

そんな途中交代組の大活躍もあって最終的に1-0での逃げ切りに成功し、昨季散々アウェイで苦しんだ中、今季はアウェイ初戦で難敵を相手に初勝利を掴むことができました。

 

アウェイで初のやまぐち一番です。

 

今回、苦しい試合展開のなか失点ゼロでしのいで一発で刺すことができるというのも強いチームに必要なことで、それを1つ積み上げられたことは大きな一歩です。これからも悪いときにそうやって0を1に、1を3にしていく戦いをしながら良いときは必ず3をとるチームにしていきたい。

贅沢を言うとこの相手に普通に正面から上回って勝てるチームであればなお良いですけどね。いわきFCのやり方が異端でくせ者で根本的にレノファと相性が悪いんであればそれでもいいんですが、実は彼らの圧力と強度というのは上を目指すときには全く普通のものだからです。今回の相手のレベルを最低限の前提にして基準としてそれを上回っていけないと、上には行けないはず。
とは言え、そのへんは今回のように勝ち点をしぶとく取り続けた末にできてくる面もあるでしょうし、焦らずまずは結果第一で見ていけたらいいかなと思っています。

 


ここからはすべて写真のみです。
スクロールせずにすべての写真を見られるこちらのギャラリーもどうぞ。

DSC00640

Image 46 of 84