[大宮vs山口] 恩返し

激戦必至のオレンジダービー。山口サポにとっての対大宮アルディージャ戦はそんなイメージでしょうか。
2021年シーズンには、前年までレノファを3年率い未知の地平を切り拓きながらクラブ哲学を明確なものにまとめ上げるという大変な貢献をしてくれた霜田正浩氏が大宮の監督に就任。このオレンジダービーの熱さは増すばかりです。

できれば残留争い直接対決という立場ではなく順位表の反対側で相まみえたかった第38節アウェイ大宮戦は、そんな山口に立ち返る場所を与えてくれた霜田さんへの恩返しマッチとしての様相をもった熱いものとなりました。

そんな熱い試合を、この臨場感の最高なNACK5スタジアムで見られるというのも、特にこの2年弱コロナ禍で試合観戦を制限され続けてきた中では、当たり前のことではない幸せだと感じます。

Jリーグの試合にたくさん行くようになった頃、自分が行った中での個人的ベストスタジアムをランク付けしてみたところ、1位はこのNACK5でした。エスパルスの応援で行ったJ1時代のこのスタジアムの雰囲気はさらに凄かったです。

2015年現地参戦したJリーグスタジアム

最近ハマっているのがレノ丸映え。この秋に発売された新レノ丸ちゃんがかわいすぎて、遠征に連れていってはスタジアムで映えスポットを探しています。

 

試合は、渡部博文選手のタイムリーエラーも絡んで先制されるも、直後に追いつき、試合終盤に高井和馬選手のスーパーフリーキックが決まり今季初の逆転勝利。
全体的に強度が高く、また個々の局面での争いから逃げないでぶつかり合うという非常に見応えのある試合でした。

 

この試合で特に目立ったのは、CB楠本卓海選手の成長ぶりでした。
となりで渡部博文選手が安定したボール保持をこなす様子を1年間見てきたからでしょうか、同じように相手のプレスを軽くターンしていなす、寄せてきた間に縦パスを通す、自らかなり高い位置まで運ぶなど、攻撃面での大変な成長を感じました。この前に現地で観戦したジェフ千葉戦ではWBの裏のカバーリングとその守備の強度などで安定感を発揮するなど、ここのところ守備面でも目立ったパフォーマンスを続けています。
大卒4年目になり、すっかりレノファ山口には欠かせない主力選手になりました。年齢と経験の面でも上から食手が伸びてきても正直おかしくはありませんので、今オフの懸案事項の一つです。

また、大ベテランの佐藤健太郎選手もここへ来て出場機会を増やしています。スタメンでこんなに出るのは2018年の序盤戦以来でしょうか。
もともとはリスク管理に優れカバーリングなどを得意とし、球離れは早く、どちらかというと目立ちにくいプレースタイルだと思います。たまに前にドリブルをするとやっぱり上手いので結構抜きされるというのがレアシーンとしてレノファサポには知られていました。
しかしこの大宮戦ではヘディングで競り合ったりかなり長い距離のドリブルをしたり相手の守備に対して仕掛けたりといったシーンが多く見られ、かなりいろいろな局面に絡んでいました。もともとそういうこともできる選手には違いないですが、ここへ来て攻撃的にスタイル変化か!?と思うと次の試合もまた楽しみです。


また、ヘニキ選手もこのシーズン終盤戦にきて出場機会を掴んで以降の鬼気迫るプレーぶりには驚かされます。
ここ数試合見られた発見なのですが、ヘニキ選手は裏1本で抜け出された局面でのスピードがイメージよりも相当速い事がわかってきました。キーパーと一対一になりかねない局面をヘニキ選手の全力疾走が潰しているシーンがここのところかなり多く見られます。
球際を強く行く、一対一で絶対負けない、そして全員が戦力、という名塚体制を特徴づける選手ではないでしょうか。

高井和馬選手の得点シーンでは、こんなおもしろい瞬間も撮ることができましたw

こんなしびれる試合と展開でFKのキッカーをじゃんけんで決めようというメンタリティ、そして決まった瞬間のこの喜びぶり、さらには全員でベンチに向かっていく感じが、今チームがメンタル的にとても前向きで良い状態なのだと思わされます。選手が楽しくやってくれているのが一番見る側も嬉しいです。

試合終了のホイッスルは、数カ月ぶりの連勝を告げるものでした。そして逆転勝利というのはここへ来て今季初です。選手たちの凄まじい喜びぶりがこの写真によく現れています。

試合終了後には、高木大輔選手がレノファサポーターのいるスタンドに向かって大きく叫んでくれました。

また渡部博文選手はこのガッツポーズ。

シャッターを切った瞬間の妙でもありますが、キャプテン池上丈二選手のこの安堵したような、肩の荷が降りたような、そんな表情に何かグッとくるものがあります。この2年間、チームはこの選手のリーダーシップのもとに苦しい時期を乗り越えてきたことをサポーターもちゃんと見てるはずです。

霜田監督は、レノファの頃を彷彿とさせるような前掛かりで球際を激しく幅をもった試合をしていました。また、名物だった全員円陣もこの大宮の地で見ることができました。
山口にとっての霜田監督は単に数々の前任者のうちの1人ではなく、もっと遥かに大きなものを遺した人です。ぼくは今後も霜田さんには大きな成功を掴んでほしいと思っています。それだけに、今回お互い残留争いという立場であることやそこで山口が勝ったことに少しだけ複雑な気持ちもありますが、その勝利の要因の一つが霜田監督の遺した哲学に基づく戦い方だったということで少し報いることができたのではないでしょうか。

ここからは、全て写真となります。
画面をスクロールせずに全写真を見られるこちらのスライドショーもどうぞ。

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