茨城国体 少年男子サッカー3位決定戦 山口県vs香川県

いきいき茨城ゆめ国体の少年男子サッカー競技で優勝候補とも目された大阪府を2回戦で下す素晴らしい戦いぶりを見せた山口県は、その後も3回戦で中国ダービー岡山県を破るなど快進撃を続けました。その時点で4回戦(準決勝)の静岡戦の結果がどうあれ最終日までフル日程で国体を戦えることが決まりました。32チーム中わずか4チームだけに与えられる特別な経験の機会です。今大会で見納めとなるこのチームをもう一度見たい!と思い、緊急参戦その2をキメました。
結果として4回戦で静岡県に敗戦したことで香川県との3位決定戦という形で最終日を戦うことにはなりましたが、U-16になって以降山口県勢初となるメダル獲得を賭けた、「失うものがある」熱い試合でした。

大阪府との試合のレポート同様、つらつらと感想を述べたあとで写真を大量に貼ります。
なお前回同様、感想や試合の様子などについては全て[要出典]です。

結果はぼくの観戦した大阪府戦に続きウノゼロでの勝利で、全国3位をつかみ取りました。
山口県 vs 香川県 試合情報 [少年男子]|第74回国民体育大会(サッカー競技)|JFA.jp

表彰式の模様は動画で撮っています。

大阪府との試合には「河野孝太くんを中心にいい選手を発見したい」という観戦テーマでスタンドにいましたが、今回は「もう少しチームの全体のまとまりや戦いぶりを見たい」のがテーマでした。まぁ、あんまり戦術眼はないので、結局似たレベルの感想にはなっているのですが。

まずは全般的な戦い方。
試合を通じて山口県がややポゼッションし押し込んでいました。前半は少し落ち着いた入りだった気がしますが、カウンターからうまく先制すると、後半はギアを上げ個々の運動量で香川県を消耗させ、1点を狙いながらボールを自軍ゴールから遠ざけるような流れでした。
香川県はガツガツ奪いにくるよりは守備ブロックを敷きつつボールを奪うと山口DFラインを一気に越す縦に速い攻撃を徹底するという明確な狙いを見せていました。中盤で奪ったボールをダイレクトで、あるいは1本下げてダイレクトで裏に速いロングボールを通し、前線のサイズのある強力2トップにあずけ2〜3人の関係性で攻撃を完結する…という戦い方をしっかり仕込んでいるようでした。クロスも深くから放り込むよりアーリークロスが中心だった印象。強力ツートップはセットプレーでも威力を発揮していて、2回ほどフリーで触られいて、精度によっては十分失点したようなシーンもありました。
山口県は崩してFWの決定力を生かす、香川県はブロックと鋭いカウンターやセットプレーで得点を狙う。ある意味、レノファ対カマタマーレを見ているような印象でした。

ぼくが一番びっくりしたのは後半に山口県がギアを上げたところ。
前半について、前プレの起点の林陸也くん(レノファU-18)を見ていたのですが狂犬プレス発動は大阪府戦より少なかった印象です。35分ハーフとは言え暑い中5日で5試合の最終日と、疲れが見えて当然の条件です。疲労もあれば、山口県がポゼッションしてたので単純に守備機会が少なかった面もあるだろうし、大阪府ほどに個の能力を警戒し飽和攻撃する必要がないという戦術的判断もあったかもしれませんが、このへんは(そもそも前半に前プレを抑えていたかという事実確認も含めて)解説を聞きたいです。
後半に入った時間帯ではスタンドから見ていると明らかにギアを上げたように見えました。運動量で圧倒的に上回るようになり、あらゆるセカンドボールを拾い、相手を(山口県側からみて)アタッキングサードに張り付けるような時間帯がかなり続きました。本当にギアを上げたのか、香川県が落ちてきて相対的に優位に立ったのかも、解説を効きたいところです。
残り10分というタイミングで16林陸也くんを交代した頃からプレス強度が下がった印象があります。これは残りのメンバーの体力も考えて意図的にそうしたのかもしれません。試合終了まではやや押し込まれながらですがこれを人数をかけたブロックで守りきってくれました。

試合序盤が静かだったという印象の要因はもう一つ、8番MF徳本奏太くん(レノファU-18)の序盤の様子からもきています。最初は彼の超絶ドリブルが炸裂するシーンもあまりないなぁと感じていました。が、これも試合の中盤に差し掛かると意図的にワイドに開きそこにボランチからの斜め前方への鋭いサイドチェンジが通る形となり、これを上手に収めて一気にPA内まで侵入する…というシーンが多く見られました。このサイドチェンジのボールをワントラップで内側に置いて、スライドしてきた香川県DFを一発で置き去りにするシーンも何度もありました。
しっかりブロックする香川県に対して押し込みながらあまり攻撃をやりきれなかった山口県でしたが、最初のしっかり崩した枠内シュートはサイドから角度のないところに切れ込んだ徳本くんだったと思います。
やはり彼は2人程度で挟まれても何ともなく抜け出してしまうプレーを連発していて、この試合でも相手DFに嫌な印象を与えたことと思います。いいクロスも上げるし、楽しみな選手です。

6番の末永章太郎くん(高川学園高)のプレーぶりは衝撃を受けました。
非常にスピードと嗅覚に優れたドリブラータイプのボランチで、もしかすると本職はボランチというよりトップ下タイプかもしれません。ボールをかっさらう、個人でスピードに乗って一気に突破する、サイドに展開する、と大車輪の活躍でした。自陣深くで奪ってあっという間にアタッキングサードまで1人で5人ぐらい超スピードで抜いていったシーンはやばかった(語彙力)。
徳本くんが切り返しの深い小野瀬康介タイプのドリブラーなら、末永くんは超スピードと細かいタッチでぶち抜いていく中島翔哉タイプのドリブラーかもしれません。
国体チームが解散してプレーを見られなくなるのを一番寂しく感じるのが末永くんです。何かの機会で見れるといいなぁ。早くレノファU-18がプリンスに昇格し、高川の3年生になった末永くんvsレノファU-18攻撃陣、という戦いを見たいです。

FW河野くんはやはり凄いですね。
決勝点では、地味にコースを消された中サイドネットに突き刺すシュート技術の高さ。大阪府戦同様に徳本くんからのクロスに対してわりと簡単にフリーになり点で合わせるようなプレーを見せていました。この2試合で見ることのできた彼のプレーの再現性の高さ(超絶決定機を外すところも含めてw)には、16歳にして安定感を感じましたし、期待感があります。身体の強さのみに頼っていないプレーがとても良いですね。Jで長く活躍できる可能性があると思うし、そのキャリアのスタートがレノファ山口であると本当に嬉しいです。ユースの県リーグで無双して感覚を磨くのもよいですが、トップの練習になるべく参加して菊池流帆などと早い段階からバチバチやるのもいいかもしれない。
また守備でも、やはり前線でタメをつくれることで反復攻撃を防ぎ守備陣を楽にするシーンは大阪府戦に続き香川県戦でも見られました。

こちらは河野くんの決勝点のシーンの動画。

GKの徳若碧都くん(高川学園高)は安定感の光るキーパーでした。おそらくポジショニングが全般的に良いのだと思います。カウンターの鋭い香川県に対して一対一を浴びるシーンもありましたがそれもしっかり防いでくれました。与えた超決定機はそのぐらいだったでしょうか。他にも枠内には何本かシュートが飛んだのですが、基本的にはイージーに正面で抑えていたので、ポジショニングの良さがうかがえます。

選手とは関係ないですが、日頃人工芝で練習&試合をしている彼らにとっては天然芝で試合できて嬉しかったのではないでしょうか(レノファU-18は土での試合も多い)。天然芝ではできるが人工芝ではできないプレーがあるわけなので、Jを本気で目指す選手にとっては重要な気がするし、もしかしたら選手獲得競争でも優位に立てるかも…? 個人的にはTwitterでいつもいつもいつもいつも言っているのですが、ユースの子たちに天然芝で練習と試合をさせてあげられたらなぁと何の権力もないのですが思っていますw


ということで大阪府戦に続き感想をだらだらととりとめもなく書いてしまったので、さっさと写真にいきましょう。
選手・チーム関係者の方はことわりなく自由に利用いただいてOKです。連絡いただけたらクレジット表記なしの元サイズの大きな写真を適当な手段でさしあげます!