2023新生レノファ

クラブとして今まで以上に明確にそしてあらゆるところで「J2でトップ6」の目標を発信し始まったレノファ山口の2023年シーズン。
自分としてはまだあまりイメージができていないその地平の向こう側にチームはどのように達しようとしているのか、それを目に焼き付けようと3年ぶりに開幕戦をホーム維新みらいふスタジアムで観戦しました。

対戦相手はJの大先輩、大宮アルディージャ。そして今季Jリーグで最初のオレンジダービーですね。
第1節 大宮アルディージャ | レノファ山口FC

試合前から本降りと小雨を繰り返すあいにくの天候とあって開幕ながら客足はどうしても控えめ。雨が降り続けると状況が著しく悪化するみらスタの芝も心配でしたが、幸いにして水たまりができるほどの状態にはならず、視界が悪化するほどでもなく、ボールがよく転がる比較的プレーしやすい環境だったのではないでしょうか。

スタジアムはどの方向を向いてもオレンジ一色。オレンジポンチョによって1人あたりのオレンジ成分も増すので、雨で観客が少ない分をちょっとカバーしている面もありますね。

 

 

試合に挑む前貴之選手、池上丈二選手、高木大輔選手といった主軸がメンバー外となったのはかなり意外であった一方で、怪我が心配されたキャプテン佐藤謙介選手は無事開幕スタメン、そして中盤から前線にかけての矢島慎也選手・小林成豪選手・皆川佑介選手の新加入選手が並んだ攻撃陣のクオリティには期待感が大きい並びとなりました。そして五十嵐太陽選手がこういったJ1経験も豊富な攻撃陣の中でJデビュー。レノファはやはり4-3-3の陣形で強烈なサイドアタックを起点に人数をかけて攻め込む狙いのようです。

対戦相手の大宮は監督が相馬直樹氏になっての公式戦初戦。町田の圧縮サッカーとは相性は決して悪くなかったので今回もどうかなと思いましたが、やはり大宮はかなりコンパクトに圧縮した展開。

その分小林成豪選手や吉岡雅和選手といったウィングの選手が浮くことが多く、そこを狙うシーンが多く見られました。特に小林成豪選手と沼田圭悟選手の関係においては最初の試合とは思えないようなかなり成熟したコンビネーションや速い突破をみせるシーンも度々あり、そこに矢島選手が絡んでくるような厚みがあり、昨年の橋本・沼田・田中の左サイドを彷彿とさせます。今季も左サイドがかなり強いポイントになるのではないかと感じました。

 

守備ではヘナン選手の対人守備がすごく目につきます。ロングボールの競り合いではほとんど負けることはなく、自陣深くで背負った展開でもあまり負けず、ゴール前でのシュートブロックなども。対人守備以外でも、最終ラインでのボール保持時には今までからではあまり想像できないぐらい自信と余裕をもってプレーし、近くには確実に出しつつ、遠くには少しチャレンジしたフィードをしていた印象。特に前半は生駒仁選手との連携がしっかり成熟しており山口春のオフサイドまつり。前貴之選手不在でもラインコントロールにはあまり心配ないなと思いました。

 

攻撃面では皆川佑介選手とチームとの関係性はまだまだ良くなっていく必要があり、良くなっていきそう。大黒将志選手のようにオフサイドの位置にいて駆け引きをしながらライン上で勝負することを狙っているように見えましたが、レノファにこれまであまりいなかったタイプということもあるのか、まだ出し手とのタイミング感が合っていない様子。皆川選手は無理が効くタイプでもあるので、多少強引にでも供給してしまう方が皆川選手自身のリズムもだし、こぼれ球の回収・反復攻撃によるチームとしての攻撃のリズムも作れるのではないでしょうか。供給精度については、中盤が非常に経験豊富なのですぐに感覚を掴んでくれることでしょう。まだあまり心配をしていません。

 

高橋秀典選手は試合を通じてダイナミックなプレーをしていたのですが、前半に左サイド沼田圭悟選手からのダイレクトクロスに対して右SBの高橋秀典選手が勢いよく飛び込んで凄まじい高さでのヘディング。枠に飛ばせていたら1点あったぐらいの素晴らしいプレーでした。あそこに来るということを信じていなければできないようなパワーでの飛び込みだったのを見ると、チームの形の一つなのは間違いないと思います。このプレーが早めに1回結果に繋がってくると、より自信をもってチームの形をパワーを持って遂行できるようになってくる好循環になりそうなので、次節にもこの形で1点生まれて欲しいところです。

 

待望の先制点はやはり強力な左サイドのコンビネーションから。小林成豪選手の非常に速い突破に対してレノファの選手は全部で5人がバイタルになだれ込むことで大宮守備陣としてはとにかく速くクリアするのが精一杯という状況を作り、そしてこぼれ球を拾える状況をしっかり作ったシーンでした。突破した小林成豪選手・決めた矢島慎也選手の個人のスキルもさることながら、チームとしてあの状況を作ったことが今季の形の一つとして持っていそうだなと感じました。

 

五十嵐太陽選手に続いてJリーグデビューを果たした大卒新人の野寄和哉選手。彼も特に変に気負ったような様子は見せず、自分が投入された時間帯と状況を理解したプレーをしているように見えました。守備では強度をもって寄せることを続け、オンザボールではスピードと突破力を見せるもあまり無理はせず周りに人がいるときには少しチャレンジしたりコンビネーションに加わったり。

 

今季からJ3に降格してしまった琉球を契約満了で去りレノファにやってきた沼田圭悟選手は、開幕スタメンフル出場で先制点にも絡んで無失点勝利に大きく貢献。試合後に見せた大きなガッツポーズには、そんないろいろのハイライトが詰まっているように見えてしまい、グッと来るものがありました。これからも大活躍して、自分の価値を取り戻し、証明し、30過ぎてからでもまだまだ飛躍できるところを見せてほしい。

 

今季初のヤマグチ一番!

 

また、交代でピッチを後にする吉岡雅和選手に対する名塚善寛監督のこの評定と握手の固さは、いまチームにある信頼感を物語っているような気がしました。順位のわりに雰囲気がぜんぜん悪くならなかったという昨シーズンの流れを引き継いでいるのか、今年もこのチームが少なくとも「崩れる」「壊れる」といったような心配はしなくてよさそうだなと感じる、そんな瞬間でした。

 

第2節はJ1から降格してきたジュビロ磐田。
開幕連敗は許されないジュビロにとって、今季のレノファがどこまでやれるか、いい時期にいい相手とやれるとてもいい試金石です。晴れ予報のホームで気持ちいい勝利を掴んでくれることを期待しましょう。

 


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