[山口vs甲府] 希望も課題も来年へ

希望も見えた。課題も見えた。それらを来年に持っていきたい────。
レノファを応援するなか、この時期に抱く一番切実な願望です。そんな思いを強くしたホーム最終戦でのヴァンフォーレ甲府戦でした。

【公式】山口vs甲府の試合結果・データ(明治安田生命J2リーグ:2021年11月28日):Jリーグ.jp

2021年J2第41節、コロナ禍のためにホームへの”遠征”の自粛を長く強いられたなか、ワクチン接種も済みコロナ禍の小康期の訪れとともに約20ヶ月ぶりに維新、そして山口県を訪れる機会を持つことができました。
我々が”オレンジ戦士”と呼ぶ彼らですが、関東のビジター試合で2ndユニでの姿を見ることこそあれど、実際にオレンジを身にまとって戦う姿を直接見ることができるのは今季では最初で最後です。

正直言って、自動昇格圏を争う甲府との試合とあって厳しい結果は覚悟の上です。特にホームでの甲府戦は大敗やショッキングな敗戦の歴史も数多くあります。それでも、名塚体制ひいてはレノファ自体が、勝っても負けても響くものやワクワク感(とハラハラ感)をもたらすような哲学を持ったチーム。久々のホームの雰囲気と併せ、きっと楽しめると信じて秋晴れの維新にやってきました。
ちなみに羽田空港から宇部空港までの飛行機で、甲府の選手たちと一緒でした。甲府からは空路なのですね。

この優雅な造形美、ここが僕たちのホーム。

 

スタジアムに着いてまずやることは、最近ハマっているレノ丸映えです。
レノ丸ぬいぐるみを前景にした写真を撮って「レノ丸映え」と言い出したのは知る限りでは自分なのですが、語感があんまりよろしくない。何かセンスのいい言葉をつけてくれる人がいたら嬉しいです。

そしてこちらはリアルレノ丸。スタジアムの外でもっと近くからお見かけしたかったのですが、今回は運が悪くスタジアム内を歩くレノ丸ちゃんをこの距離で撮ることしかできませんでした。

 

スタジアムに大旗が戻ってきました。
ゴール裏の雰囲気というのは良いものですが、ここが自分たちのホームだと思いながら見るこの雰囲気は格別です。最後には14本の大旗をバックにレノ丸映え。

試合は、予想に反しと言っては失礼かもしれませんが、甲府を相手にして互角以上の戦い。

試合の入りの入りは、最終ラインを中心にパスが合わない…というか、ちゃんと受け手のことを見てる??と思わずにはいられないミスが散見され、かなり心配でした。しかし時間が進んで落ち着いてからは山口の前がかりなスタイルが結構ハマり、試合を優勢に進めることができていました。
前半の決定機の数は同等ぐらいだったでしょうか。しかしその内容は、カウンター一本で山口ゴールを脅かす甲府と、狙いを持った崩しで人数をかけて甲府ゴールに押し寄せる山口、という違いを感じました。
総じて、比較的試合を支配していたのは山口と捉えてよい前半でした。
一方で、甲府の鬼気迫るシュートブロックなどの「最後はやらせない」守りを崩すことができず、甲府の守備としてもこれでよかったと考えているのかもしれません。

後半はやはり同様に一進一退の拮抗した攻防を続ける中で、失点シーンは試合の序盤に感じた不安が的中した形となりました。つまり、受け手のことをちゃんと見ているように感じられないパスミスが結局致命傷となりました。
ここまで自分たちの戦いを続けていた選手たちが倒れ込む様子がとても印象に残っています。


失点に絡んでしまったのは(後で見返して知ったのですが)田中渉選手でした。
しかし、レノファの攻撃の中心もまた田中渉選手です。攻撃の際には彼が絡むシーンが非常に多く、ほとんどの攻撃の起点になっていたように感じます。写真を見返してみても、田中渉選手のカットがとても多い。オフサイドになったシーンも含め田中渉選手から高井和馬選手への完璧な裏抜けのスルーパスなどの決定的な仕事も多くありました。彼のプレーには大きな希望を感じています。

試合後の田中渉選手は責任を感じてか涙を流していたと聞いています。

ちょうどこの文を書いているときに、田中渉選手の期限付き移籍契約延長が発表されました。「維新での悔しさは維新でしかはらせない」この言葉には、間違いなくこの甲府戦でのプレーも含まれているでしょう。

彼のプレーの希望と課題はチームの希望と課題でもあります。本人もチームも、何をすればいいかはわかっているはず。課題がわかり何をすればいいかさえ分かっていれば、サポーターとしても課題が希望に変わっていく様子を期待とともに見ることができそうです。

 

高井和馬選手は、何ならハットトリックさえあったと感じるほど決定機に絡みながら無得点に終わってしまいました。
しかし、何度も裏抜けの動きをしたり決定的なクロスを演出したりといった攻撃面の受け手・出し手としての動きだけではなく、長い距離を猛烈にスプリントして相手のボール保持に対し圧力をかけるなどの献身的な守備もありました。名塚体制となって吹っ切れたように輝きが増している高井和馬選手ですが、来季のケチャドバの期待がかかります。

この強い相手に対して高井選手を始めとした攻撃陣でこれだけの決定機を再現性をもって作ることができるという希望、そしてそれを仕留められないという課題、それもまたチームの希望であり課題です。

2022シーズンに向けた高井選手の去就はまだ明らかにされていませんが、現時点でGK・CB・両ボランチとセンターラインの軸の継続が決まっているなか彼が来季も軸になってくれると、希望と課題を来季に持っていくことができるという点でとても期待が持てます。

 

最終戦セレモニーでは、河村孝社長がぽろっと「1からのスタートになるかもしれませんが」とこぼしてしまいました。言葉選びの得意な方ではないのであまり一言一句を真に受ける必要はないですが、覚悟はしているけどやっぱ今年もスクラップ&ビルドになってしまうということかな……と裏を読んでしまいました。

そんな心配に反し、今オフ12月19日現在ではベテラン勢を中心に思いのほか主力中の主力といった選手たちがチームへの残留を表明しています。
ここ最近ではあまり無かったぐらい、今年感じた希望と課題を来年に持っていけるオフとなるかもしれません。名塚監督の交渉手腕も含めて今後の編成に期待をしたいと思います。

 


ここからは全て写真のみです。
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