もっとできるはず、いや、ここ数試合では実際にもっとできていたはず──それが先制されるも追いつき引き分けに終わったJ2第40節 松本山雅vsレノファ山口の試合を見て山口の戦いに抱いた印象でした。
今日の試合は、あなたたちもっとできるでしょっていうかできてたでしょって言いたくなる感じだったな……しょうもない流れで1-3ぐらいで負けててもおかしくなかった。結果的にこのドアウェイで負けなかったことは大事だけど、今日はさすがに相手の決定力と関さんに助けられすぎた。 pic.twitter.com/WOYdqf3cJl
— ピクト魚ラム (@orange_sakana) November 21, 2021
残り2試合、昇格に向け勝つしかない3位甲府と、残留に向け勝つしかない21位愛媛とを迎え撃つ厳しい対戦です。
相手にお付き合いせず殴りに行くレノファを今季最後に見られることを願いつつ、松本戦の写真と雑感をまとめます。
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東京に在住する中で、応援するレノファ(やエスパルス)が関東でのアウェイ戦にやってくる機会は毎年の楽しみです。そんな山口の関東戦歴のうち、1回も機会を逃さず現地で観戦できているカードがあります。その1つがこの松本での松本山雅vsレノファ山口の試合です(その他は東京ヴェルディ、大宮アルディージャ、横浜FC。無観客を除けば町田も)。
個人的には松本山雅FCに対し深い尊敬の念を抱いていて、レノファの勝利に次ぐぐらい、この街とスタジアムとその雰囲気を見ておきたい。そんな気持ちで今年も日帰り遠征で松本までやってきました。
駅の改札でのウェルカムメッセージ。
スタジアムでまずすることは、もはや恒例のレノ丸映えです🥰🥰🥰
スタジアムの景色を背景にするパターンはそろそろベタ感があるので、何か新しい映えアイデアを探したい。
ピッチとの近さ、一層構造スタンドの一体感、背後に日本アルプスを臨む風光明媚な景色、やはり良いスタジアム。
この試合から大旗やゲーフラ、タオルマフラーの振り回しなどが解禁。Jリーグでお馴染みの風景が少しずつ戻って来つつあります。松本のゴール裏は、1席飛ばしとは思えないような密度感でした(ですが確かに1席飛ばしですね)。
山口と松本のJリーグでの対戦はこの時点で過去9試合、山口の1勝2敗6分、アウェイ4試合では1勝1敗2分と全くのイーブン。一方で9試合中のスコアレスドローの3試合を除く6試合全て先制は松本──結果はそんなデータ通りでした。
名塚体制で猛威を振るっていた縦パスもいまいち通らず、ボールは握れていてもあまりプレッシャーの強くない状況なのに簡単なパスをカットされショートカウンターを食らいまくって疲弊する、ゴール前でも時間が止まったようなプレーで決定機を作られる、90分を通してそんな展開でした。
このアルウィンは過去には芝があまり良くない時期が長かった印象もあります。
楠本卓海選手がパスをするときに足を滑らせるシーンを見たこともあって、縦パスが簡単にカットされるなどズレが見られるのは、もしかすると芝が合っていないのかな?とも思いましたが……、あとでDAZNを見返すと攻撃時の距離感が随分と悪いように見えたので、芝は関係なさそうです。実際スタンドから見ても芝はとてもきれいでしたし。
前節の北九州戦ではコンパクトな陣形で反復攻撃することができていたがそこを突破されたスペースを使われての失点になったことが、今回縦に少し間延びしたような攻撃になった原因でしょうか。
この試合での一番見どころだったのは、かつてレノファの躍進を支えた前貴之選手と、これからレノファの躍進を担う橋本健人選手のマッチアップでした。
橋本選手のドリブルはスピードに乗った状態で右に左にと揺さぶり抜き去る三笘薫選手に近いタイプの印象が強いですが、今回は正対して止まった状態から切り返しで抜き去ろうという坂元達裕選手のような仕掛けも見せてくれました。
対する前貴之選手は重心を低くし、相手の動きに食いつきすぎずに落ち着いて対応。見応え抜群でした。
橋本健人と前ちゃんのマッチアップは迫力があって最高だった pic.twitter.com/jS1pFrJmTp
— ピクト魚ラム (@orange_sakana) November 21, 2021
この橋本健人が前ちゃんに対峙したシーンは凄かった。前ちゃんの集中して落ち着いた構えもよかったし橋本健人の左右自在・緩急自在なかんじも見応え最高だった pic.twitter.com/mcMkOoMAts
— ピクト魚ラム (@orange_sakana) November 21, 2021
そして橋本選手のダイレクトボレーでのシュートにはしびれました。
この視野とキック技術。ゴール裏からは完全に入ったと思った……
田中渉選手は今ではレノファの攻撃の主軸を担う存在です。
受けてから出すまでが速く、またその選択肢も広く持てています。池上丈二選手との組み合わせでボールがスムーズに回る点は、最後尾からの縦パスと並んで今のレノファの攻撃の強みの一つでしょう。そのためにも、もっとコンパクトで距離感のいい陣形を保っておきたかったところではないでしょうか。
いまいち攻撃のコンビネーションがうまくいかないなか、(橋本選手と並び)高井和馬選手にはうまくいかないなりに自分の力でなんとかしようという気概を感じるプレーが随所にありました。
攻守に多くの局面に絡み、また左に右にと自由に動くなど縦横無尽な動きはこの試合もよく見られました。
こちらは後半AT頃、自陣の右の深い位置からボールを奪取し敵陣左サイドの高い位置まで単騎突破していったシーン。
梅木翼選手は2試合ぶりの出場。
この試合のように押し込んでいるときや相手が引いたときに崩せるだけのコンビネーションのクオリティが現状は無いのがレノファ。梅木選手はそんなときに高さや力でねじ込むことができる数少ないタレントなので、チーム内競争に勝ってもう少し長い時間プレーできる機会を掴んでほしいと思います。
ヒーローは同点弾の渡部博文選手。渡部選手のインタビューの内容もそうでしたが、他の選手たちも追いついた安堵感よりはうまくいかなかった悔しさが勝るような表情をしていたように見え、その認識が共有できているならこのチームはきっと前に進めるかなと少し安心しました。
前選手と田中パウロ淳一選手がピッチで躍動する姿も見られてよかった!
ところで、この試合では引退前ラスト数試合という家本政明主審がジャッジを行いました。試合前には場内アナウンスと大きな拍手があり、また試合後には両チームのサポーターと選手に挨拶をしてくださいました。
家本さんといえば大きな実績をもつ名審判としてだけでなくいろいろなコンテンツ性もある魅力的な方です。
小鳥さん救出の舞台裏(番外編)|いえぽん@日本で1番ワクワクする試合を創るプロ審判|note
ぼく個人としては、Jリーグが試合や選手しかコンテンツとして売っていないのがもったいないと思っている方です。
もっとしゃぶりつくせるコンテンツになりうるアセットはJリーグの至るところに転がりまくってるはず、その一つが審判なのではないか……という思いをずっと抱いています(審判はJリーグでなくJFAの所属ですが)。
家本さんは実績だけでなくその発信力などもあるので、個人的にはひそかに「審判を見ても面白い」というJリーグを作るために活かしてほしいな…と至極身勝手な期待を持っています。
ここからは全て写真のみです。画面をスクロールせずに全写真を見られるこちらのスライドショーもどうぞ。